自由民主党

衆議院議員 むたい俊介オフィシャルサイト 長野2区 自民党
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理念・政策・メッセージ

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2016.06.13

「マスコミ誤報に対する責任の取り方に思う」


 熊本の大きな地震が起きて間もない5月15日に、故永田恒治弁護士のお別れの会で葬儀委員長を務めさせて頂いた。1994年に起きた松本サリン事件で捜査当局、マスコミにより容疑者に仕立てられかけた最大の被害者のはずの河野義行さん(奥様がサリンで死亡)の冤罪未遂事件を、孤軍奮闘の弁護活動により寸前で防いだ反骨の正義の人が故永田恒治氏であった。何人かの弔辞の中で、当時、見込み取材により冤罪未遂記事を全国に発信した読売新聞記者永野貴行氏は、永田弁護士との出会いから自らの責任を深く痛感し記者を辞し、心機一転弁護士を目指し苦節7年を経て司法試験に合格、現在は弁護士として活動していることを永田弁護士のご霊前に語り掛けていた。永野氏の弔辞は、永田弁護士の懐の深さと永野氏のマスコミ人としての責任の取り方、矜持の在り方を浮き彫りにして、胸に迫るものがあった。


 同じジャーナリストでも永野氏とは全く異なる軌跡を辿った人がいる。当時、TBSの「ニュースの森」に河野さんを疑惑の人として呼びつけ、生放送で犯人として決めつけるような質問を浴びせたキャスターで、つい最近までTBSテレビ報道局編集センター解説・専門記者室長(局長待遇)を務めた杉尾秀哉氏である。杉尾氏の畳みかけるような疑惑の指摘に対し、無口な河野さんは、ニュース中の最後に「そういうふうにおっしゃって(犯人だと)決めつけるんですね」と語っておられたことが記憶に生々しい。


 実は杉尾氏のサリン事件への関りは松本サリン事件だけではない。松本サリン事件を遡る5年前の1989年には「TBS坂本弁護士テープ問題」というマスコミ史上最悪の不祥事があった。「坂本弁護士がオウム真理教を批判する内容のビデオ」を「3時にあいましょう」のスタッフが放送前にオウム真理教幹部に見せたという問題だ。放送倫理の基本の欠如と同時に、その9日後に起きた「坂本堤弁護士一家殺害事件」の原因になったのではないかと大きな批判がまき起こり、マスコミ界を揺るがす史上空前の大スキャンダルとなった。


 「坂本弁護士一家殺害事件」の後しばらくは問題が発覚しなかったが、6年後、日本テレビが「TBSが放映前の坂本弁護士のインタビュービデオをオウム幹部に見せた」というスクープを報道した。それに対してTBS「ニュースの森」のキャスター杉尾秀哉氏が完全否定、抗議声明までも出した。こうしてTBSは自らのニュース番組を通じて真実を隠蔽したが、5か月後、オウム幹部の公判において当事者の供述やメモが明らかになり、TBSはビデオを見せたのこと事実であることを渋々認めた。


 この件が大問題になった後、杉尾氏はキャスターを降板、JNNアメリカ・ワシントン支局へ異動した。そして、彼は、その後、TBSで顕官ポストを亘り歩き、前述の局長待遇ポストにまで上り詰めた。そしてその杉尾氏は、このたび松本サリン事件の地の松本市、坂本弁護士の長男の遺体が遺棄された大町市を包含する参議院長野県選挙区から民進党、共産党などの野党連合の統一候補者予定者として参議院選挙に手を挙げようとしているのである。


 この問題については、国会に参考人として招致されたTBS幹部の発言が記録されているが、それに対する今回杉尾氏を推すこととなった共産党の当時の議員の質問は殊の外厳しい。


【以下引用1996年3月19日衆議院法務委員会議事録より】
・龍彦さんという一歳の子供まで口をふさがれて窒息死しております。弁護士以外に都子さんまで、腹をけられ、ネグリジェで首を絞められて窒息死されております。そういうのに一定の原因をつくったということについて、放送機関だけでなしに、社会人としての良心や反省もないんですか。こんな不合理なことが通用すると思っているんですか。坂本インタビューに関する話が出たかどうかもはっきりしない。不合理じゃないですか。答えられないでしょう。
・見返りを得るために、人の命を危険にし、事件が起こってからもそれを隠し続けて、捜査機関から去年の秋に言われるまでひた隠しに隠しており、今もここで隠す。TBSは人間の良心があるんですか。


 ジャーナリストとして、件の読売新聞記者の責任の取り方とテレビのコメンテーターの責任の取り方を比べ、我々はどちらが真のジャーナリストの姿だと考えるべきか。特に公共財である電波を使ったテレビで世間に顔を売ったジャーナリストは、人一倍テレビでの自らの言動に責任感を持つことが求められる。それが報道の自由と裏腹のマスコミの矜持のはずである。


 今回の参議院選挙の中で、厳しく安倍政権批判を繰り広げる杉尾氏には、自らが関わったサリン事件報道についても、特に長野県の有権者に対しては納得のゆく説明責任を果たして頂きたい。故永田恒治弁護士のお別れ会の葬儀委員長としては、故永田先生も彼岸の地からそう語りかけているように思われてならない。


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