理念・政策・メッセージ
2026.11.05
「防災庁発足に寄せて」
〜今こそ、一人ひとりが「備え」を見直す時〜
11月2日、防災庁が発足しました。防災庁は、事前防災から災害対応、復旧・復興までを一元的に担う国の司令塔として設置されました。細野防災大臣は、「日本の防災を新しくする、作り直す」との決意を示すとともに、国民一人ひとりに対し、水や食料の備蓄や家具の固定など、事前防災の徹底を呼びかけています。
私は、この防災庁発足に特別な思いを抱いています。総務省消防庁防災課長として、神奈川大学教授として、そして国会議員として、長年にわたり防災制度や危機管理の在り方について提言を続けてきました。また、『3・11以後の日本の危機管理を問う』の編著者の一人として、東日本大震災の教訓を踏まえながら、日本の危機管理体制をどう強化すべきかを問い続けてきました。自民党に置かれたPTでもこれからの我が国の危機管理体制に関し、今日の防災庁設置に繋がる提言を行い、その内容が防災庁の機能にも盛り込まれています。
私が一貫して訴えてきたのは、防災は行政だけの仕事ではなく、国民一人ひとり、そして地域社会全体の課題であるということです。
その思いから、私自身も築後60年を超える安曇野市の自宅について、公的支援を受けて2016年9月に耐震改修工事を行いました。これにより、家族はもちろん、孫たちが来ても安心して泊まれる住まいとなりました。大地震が発生した際、まず命を守るのは住まいの安全性です。耐震化は防災の原点であると改めて実感しています。
私は、個人としての備えにとどまらず、生坂村における地域防災計画の見直しを支援するとともに、災害時に必要となる非常用電源の確保や、河川水・防火水槽・ため池など地域の水資源を活用できる非常時浄水システムの導入・展開についても、民間事業者と共に各方面に働きかけを行っています。
熊本地震をはじめ災害で明確に浮かび上がってきたことの一つに、電気と水の確保が被災者の生活を左右するという事実です。行政による支援が本格化するまでの間、地域が自ら持ちこたえる力、すなわち「地域防災力」の向上が極めて重要です。
防災の基本は、「自助」「共助」「公助」の三つが補い合うことにあります。防災庁の発足によって、公助の体制強化は大きく前進するでしょう。しかし、防災庁ができたからといって、全てを行政に委ねることはできません。むしろ、防災庁の設置は、政府、自治体、民間企業、地域社会、そして国民一人ひとりが、それぞれの役割を改めて確認する契機であるべきです。
私たちは今一度、
家具は固定されているか
水や食料は十分に備蓄されているか
非常用トイレは準備されているか
家族との連絡方法を確認しているか
自宅の耐震性は十分か
地域の避難所や防災計画を理解しているか
を確認する必要があります。
東日本大震災、熊本地震、能登半島地震をはじめ、数々の災害が私たちに教えてくれたのは、「備えた地域ほど強い」という事実です。防災庁発足の日を、単なる新組織の誕生の日としてではなく、「自らの命は自ら守り、地域は地域で支える」という原点を再確認し、防災を我が事と捉えなおす日としたいものです。
災害は防ぐことはできません。しかし、被害は減らすことができます。その鍵を握るのは、防災庁だけではありません。私たち一人ひとりの行動です。防災庁発足を契機に、家庭で、地域で、そして国全体で「備え」を見直し、日本の防災力を一段と高めていこうではありませんか。
