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理念・政策・メッセージ

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2026.09.28

「ロシアの侵略性を“病原体”として捉える戦後処理の枠組」
〜ゼレンスキー大統領の「ペイシェント・ゼロ」発言を聞いて〜


 「ペイシェント・ゼロ」とは、感染症の流行において最初に感染した、あるいは最初に確認された人物を指す言葉です。ゼレンスキー大統領が9月末の国連総会でロシアのプーチン大統領を「ペイシェント・ゼロ」と呼んだのは、戦争という“感染症”を世界に広めている起点であるという強烈な比喩表現だと受け止めています。


 この言葉を聞いた瞬間、私はロシアの侵略性を「感染症モデル」で捉える視点が鮮明に立ち上がりました。ロシアの暴力性は、特定の指導者の意思にとどまらず、帝政ロシア、ソ連、そして現代ロシアへと連続する“病原体”のような構造的性質を持っているのではないかという考えです。


 私の父は、先の大戦終結後、終戦を迎えた満州からソ連によってシベリアへ送られました。この出来事は、忍辱の家族史であると同時に、ロシアが長い歴史の中で繰り返してきた暴力の典型例でもあります。ポーランド、バルト三国、クリミア・タタール人、チェチェン人など、ロシア帝国もソ連も、そして現代ロシアも、同じような強制移住や民族抑圧を繰り返してきました。体制が変わっても行動様式が変わらないという点で、まるで病原体が宿主を変えながら生き延びてきたかのように見えます。


 私は2025年2月にウクライナの首都キーウを訪問した際、現地の関係者から、ロシアの侵略性を構造的に弱めるための発想として MRSA(Make Russia Small Again) という考え方を伺いました。これは、ロシアの国家規模、軍事力、資源支配力、帝国的ナラティブを縮小し、侵略性の源泉を弱めるための戦略的フレームであり、感染症モデルで言えば病原体そのものの毒性を下げる「弱毒化」に相当します。


 ゼレンスキー大統領の「ペイシェント・ゼロ」という表現は、プーチン氏個人を侮蔑するためではなく、ロシア国家の侵略性という“感染症”の現代的な発症源を指し示し、国際社会に封じ込めの必要性を訴える戦略的なレトリックだと理解しています。ロシアの侵略は偶発的な事件ではなく、歴史的に再発してきた病理現象であり、放置すれば次の感染波が必ず訪れるという警告でもあります。


 ウクライナがロシアの侵略戦争に打ち勝ち(私は国際社会の強い支えにより最後は勝利すると信じています)、戦後ロシア処理の枠組みを考えるとき、単なる停戦や領土問題の解決では不十分だと感じます。必要なのは、ロシアの侵略性を構造的に弱毒化し、再発不能にするための長期戦略です。国際社会は封じ込め、免疫形成、再発防止という三層の対策を同時に進める必要があります。エネルギー依存の脱ロシア化、情報空間の免疫強化、ウクライナの主権回復、国際機関におけるロシアの影響力縮小などは、感染症の再流行を防ぐための「集団免疫」を形成するプロセスだと考えます。


 父が経験したシベリア抑留は、過去の悲劇ではなく、現在のウクライナで再び起きている現象と同じ構造を持っています。だからこそ、ロシアの侵略性を“病原体”として捉え、MRSAを含む戦後処理の枠組みを構築することは、歴史的にも倫理的にも、そして安全保障上も不可欠だと強く感じています。ゼレンスキー大統領の「ペイシェント・ゼロ」という言葉は、ロシアの侵略性を正しく理解し、再発を防ぐための新しい思考の扉を開く鍵となるのです。


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