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理念・政策・メッセージ

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2026.06.16

「茨城租税債権管理機構の創設を振り返って」
〜四半世紀を経て実感した「茨城モデル」の意義〜


1.茨城県訪問と旧友との再会が呼び起こした記憶
 2026年6月、私は茨城県内の市町村を訪問する機会がありました。その折、茨城県庁総務部長として勤務していた頃の同僚と久しぶりに再会いたしました。現在は県内のある市で副市長を務めておられます。昔話に花が咲く中で、私が設立に関わった「茨城租税債権管理機構」が、今なお大きな成果を上げていることに触れていただきました。その言葉が、当時の議論や苦労を鮮やかに思い起こさせてくれました。


2.機構創設をめぐる時代背景と問題意識
 この機構が発足したのは、2001年4月のことです。私が茨城県から霞が関(地方分権推進委員会)に戻った後のことではありますが、私自身がその構想段階から深く関わりました。
 当時は、地方分権改革が大きく進もうとしていた時期でした。自治体にはこれまで以上に自主的な行政運営が求められる一方で、税収確保という重い課題がのしかかっていました。特に、
・市町村税の滞納が増加していたこと
・高額・悪質滞納者への対応が複雑化していたこと
・差押えや公売など専門的な徴収技術が必要になっていたこと
・小規模自治体では徴収体制の確保が難しかったこと
 こうした状況が深刻化していました。地方分権というスローガンは良いけれども、足下の自主財源の確保の体制が弱いままでは実態が伴わないと指摘されることを恐れる見方もありました。


3.「広域連携」という革新的アプローチ
 そこで私たちが考えたのが、「徴収困難案件を広域的・専門的に処理する共同組織」という発想でした。自治体単独では対応しきれない案件を、専門性を備えた組織が一括して処理することで、徴収力を底上げしようというものです。
 この考え方は当時としては全国的にも先駆的であり、まさに地方分権時代の課題に対する新しい解決策であったと自負しています。


4.24年間の成果が示す機構の意義
 機構の成果は、24年間の数字に明確に表れています。
・引受額:約625億円
・徴収額:約295億円
 さらに、県全体の徴収環境にも大きな改善が見られました。
・市町村税徴収率は97%台へ向上
・税収未済額は378億円減少し、2025年時点では約122億円
 これらは、自治体財政の健全化に直結する極めて大きな成果であり、機構の存在意義を裏付けるものです。


5.「徴収」と「人材育成」を両立する仕組み
 茨城租税債権管理機構の特徴は、単なる徴収代行組織ではないという点にあります。差押えや公売のノウハウを蓄積し、そこに派遣された市町村職員が高度な徴収技術を身につけ、各自治体に戻っていきます。
 つまり、機構は「徴収」と「人材育成」を同時に実現する仕組みとして機能してきたのです。この点こそが、長期的に見たときの最大の価値であると私は考えています。


6.全国へ広がった「茨城モデル」
 こうした取り組みは全国から注目され、茨城租税債権管理機構には多くの自治体が視察に訪れるようになりました。その後、長野県、群馬県、岐阜県、福岡県などでも同様の広域徴収組織が設立されました。
 この流れの先駆けとなったことから、機構はしばしば「茨城モデル」と呼ばれるようになりました。茨城県が全国の先頭に立って新しい行政モデルを提示できたことは、県行政に携わった者として大きな誇りであります。


7.四半世紀を経て感じる誇りと感慨
 四半世紀前に構想し、皆で議論し、実現に向けて汗を流した取り組みが、今もなお成果を上げ続け、発展していること。そして、そのことを覚えていてくださる同僚がいることに、私は深い感慨を覚えました。
 茨城租税債権管理機構は、地方分権時代の課題に対し「広域連携」という解決策を提示し、実際に成果を上げてきた先駆的な取り組みです。その構想に関わることができたことを、私は今も誇りに思っております。


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