理念・政策・メッセージ
2026.06.07
「孫の誕生から垣間見る東京一極集中の現状」
〜ミクロの幸福とマクロの課題〜
令和7年の出生数は 約68万2,000人 と、統計開始以来最少を記録しました。人口減少に加え、人口の年齢構成の急速な変化は、将来の日本社会の姿を大きく変えることになります。すでに多くの職域で労働力不足が顕著になっています。
一方で、AIの急速な発展は働き方そのものを大きく変えつつあります。ホワイトカラー分野では著しい効率化が進み、これまでブルーカラーに分類されていた職種への労働力シフトが起きています。ホワイトカラーの賃金水準が伸び悩む中で、ブルーカラー職種の賃金が上昇している点も注目されます。
私自身の身の回りのことを言えば、昨年、三人目の孫を授かりました。出生数が過去最少を記録する中での孫の誕生は、その存在がいかに貴重であるかを改めて実感させてくれます。
孫たちは都内在住で同居はしていませんので、会えるのは時折ですが、その分、成長の早さを驚きと喜びをもって見守っています。
その孫たちの成長環境を見ていると、非常に恵まれていると感じます。保育所の経費は食費も含めて親の負担はゼロ。子育て世帯には「ユリコポイント」と呼ばれる10万円相当のカタログギフトが付与され、0?18歳の子どもには所得制限なしで毎月5,000円の現金給付が行われています。医療費についても、都費で15歳まで助成され、全区市町村が独自に上乗せすることで18歳まで医療費無料化が実現しています。
東京都は、全国と比較しても「現金給付・医療費・保育インフラ」の3点で全国トップクラスの手厚さを誇り、高い財政力を背景にした普遍的支援が突出しています。こうした手厚い支援の恩恵を、私の孫たちも享受しています。
このような支援があるため、最近では国家公務員の子育て世帯が、隣県の公務員住宅への入居を避け、都内居住を希望するケースが増えているという話も耳にします。
子育て世帯にとっては切実な問題ですが、一方で東京都以外の自治体から見ると、東京都の手厚い子育て施策が東京都への人口一極集中を招いているとの批判もあります。財政力の違いに起因する施策によって若い世代が東京都に集中する、いわゆる「足による投票」が生じているのです。
先日公表された都道府県別の人口動態でも、人口が増加したのは東京都と沖縄県のみで、東京都以外の首都圏自治体も含め、他のすべての都道府県で人口が減少しています。
ミクロで見れば施策の充実ですが、マクロで見ると人口動態や国土構造の観点から歪な姿を生み出しているとも言えます。これは、いわゆる「合成の誤謬」の典型例です。
これをどのように是正していくのかは、これからの国土政策に関わる重要な課題です。税財源の東京都への一極集中の是正策が議論されていますが、財源論以外の手法についても本格的な議論が必要になっています。私自身、いくつかのアイデアを持っています。
