理念・政策・メッセージ
2026.05.08
「ナイジェリア訪問の顛末」
代議士を退任して時間があるからと言って何故私がナイジェリアに行くのかという疑問をお持ちの方も多いと思います。私自身も、2か月前には、こうした事態を思い浮かべてはいませんでした。
ことの発端は、3月9日に埼玉県深谷市を訪問した際に、訪問先の事業所の社長から、友人のナイジェリア人から日本の原油調達に関して政府与党への繋ぎを求めているとのお話を頂いたことからです。
ロシアのウクライナ侵略、そしてイラン戦争に伴うホルムズ海峡の閉鎖を受け、日本のみならず世界中が苦境にある中で、特に日本は原油の輸入の94%を中東に頼っている日本にとって、調達先の多角化は最低限必要であり、それに向けての政府内の検討も進んでいるとは承知していますが、調達先の切り替えは簡単ではありません。
その中で、アフリカ最大の原油産出国のナイジェリアとは、日本はこれまで安定的な調達先としての対応はほとんどなかったと承知している中で、事態の深刻化を緩和する意味でも、その可能性を探ることは必要であると考え、代議士退任後も社会的貢献をしたいとの思いで一定の政治的活動を継続している私としても、私にできる協力をすることにいたしました。
3月17日には、ナイジェリア関係者と共に、これまで政府与党内で経済安全保障の観点からエネルギー調達の多角化を主唱してきた小林鷹之自民党政調会長(衆議院議員当選同期)、INPEX上田隆之社長(大学同級生)、岡本浩一常務、経産省佐々木雅人エネルギー統括調整官、長谷川洋エネ庁国際資源戦略室長を訪問しました。JOGMECの高原一郎理事長(大学同期生)ともメールでやりとりをしました。政府や石油会社の反応は、エネルギー調達の多角化と言っても、一朝一夕に対応できるものではなく、世界のトレーダーとの関係、アフリカからの長いサプライチェーン、調達コストの増高、アフリカ自身の政情不安定さといった様々な課題があること、これまで経済効率性を考え中東依存を高めすぎてきた反省はあるが、そのための対策として石油備蓄の強化、エネルギー源の多様化自体は進めてきていること、といった説明がありました。
これに対して、経済安全保障重視の自民党の小林政調会長は、政府の考え方は経済効率性に重きを置き過ぎており、政府とは別次元の観点に立ち、与党の立場として、ナイジェリアとの関係強化を行う中で、石油資源確保の方途についても検討すべきとの考え方が示されました。
こうした中で、連休中に自民党政務調査会として小林鷹之会長、江島潔参議院議員、勝目康衆議院議員がナイジェリアを訪問することになったとの連絡を受け、それに呼応する形で、民間有志の立場の我々も、ナイジェリアを訪問し、側面的に小林訪問団を支援することとした次第です。
早速、ナイジェリア石油関係大手企業の関係者と、自民党小林政調会長一行のナイジェリア訪問に合わせた日程調整を行いました。自民党本部としては外交ルートでのアポを取る手続きを進めましたが、ナイジェリア特有の国内事情によりアポ取得に手間取りました。そこで、外交ルートとは別に政府要人とのアポ取りを進めるという、ダブルトラックの手続きを進めました。アポをダブルトラックで取って行くということは、なかなか複雑な様相を呈しましたが、相手がアフリカということで、そうしたやり取りもあり得るという了解のもとで進めました。
それでもなかなか政府要人とのアポが確定しない中で、ナイジェリアに出立した後に、ナイジェリア政府内で訪問を想定していた時間帯に緊急対応の臨時閣議が飛び込んでくるという事態になりました。結果的に、我々なりのネットワークが生き、急遽政府要人とのアポを訪問当日に異例の形で実現できる運びとなったことは、我々のナイジェリア訪問の意味があったと思った次第です。
我々のナイジェリア訪問団は、当初、この話の発端となったナイジェリア人をはじめ6名の参加を想定していましたが、ビザの取得などの制約もあり、最終的には、原油取引とは直接関係が無いもののナイジェリアとの今後の関係構築において役割を果たし得るメンバーの3名の参加となりました。私の立ち位置は、日本国内の政治的ネットワークを生かすという観点での参加となりました。
訪問の前から、ナイジェリア政府からのビザ取得が非常に時間がかかるという現実に直面しました。当初、訪問予定の参加者は、出立予定日にビザ取得ができずに訪問断念という事態になってしまいました。ビザ取得に追加費用を支払えばビザを早く取得できるという特別ルートを使ったものの、それが機能せずに、ビザ取得が間に合わないという皮肉なこととなりました。最初から雲行きが怪しい雰囲気がありました。
長旅の飛行機でナイジェリアのラゴスに到着しましたが、早速入国時にトラブルに見舞われました。入国手続きが何重にも行われ、その都度、入国手続きに携る関係者からパスポート、ビザ、黄熱病ワクチン接種証明書(イエローカード)、入国カードの提示が求められました。何故こんなに諸手続きが別々に行われるのか不思議でした。そもそも、パスポートナンバーとビザが紐づけられていないというシステムの現状にも遭遇しました。空港職員が、手打ちでパソコン入力をしているのです。おまけに、その手続きの都度、袖の下を要求されるというびっくり仰天の経験をしました。私の場合は、入国時にイエローカードの提示をしましたが、女性職員からイエローカードの記載がおかしいと難癖をつけられ、そこで手続きを停止され、暫くの間、悶着が起きました。その際に、袖の下を渡せば通すというジェスチャーを受けましたが、一応毅然とした対応で、数分で通過することができました。訪問団関係者も、荷物チェックなどの場でやはり袖の下を要求され、不快な思いを味わう入国となりました。
空港には、入国後の受け入れを行ってくれることとなっていたナイジェリア石油関係大手のマスターズエナジーの関係者が迎えてくれましたが、そもそもそういうルートが無いと、ナイジェリアでの行動は不可能という他ありません。
以下は、ナイジェリア4泊5日の活動記録です。
4月28日(初日)
前日の4月27日に成田空港を発ち、仁川空港経由でエチオピアのアジスアベバ空港に28日に到着。更にナイジェリアのラゴスに午後到着。途中でホルムズ海峡の付近を通過。高原のエチオピアでは丘陵が目に入るも、広大で平坦な国土を持つナイジェリアには高層建物が見当たらない。その足で、ラゴスに本社のあるナイジェリアを代表する石油資源関連会社マスターズ・エナジーグループを訪問し、社長のウチェ・オガ博士と意見交換。石油資源の調達先の多角化に向けた調査の一環。
4月29日(2日目)
早朝ラゴスを発ち、飛行機でナイジェリアのラゴス空港からギニア湾を臨むポート・ハーコートに飛び、マスターズ・エナジーのウチェ社長の案内で同社の石油、LPG備蓄基地を視察。マングローブ林を開発して造成した備蓄基地を更に拡大する動きも伺う。広大な拡張予定地を8キロ歩き汗だくに。私としては、マングローブ保全とセットの開発を強く望む思いも伝える。市内を車で移動する中で、環境面の課題も目にする。ナイジェリアの経済都市ポート・ハーコートの環境問題(ゴミ)は深刻。夕方、飛行機で首都アブジャに行く予定が、飛行機トラブルで別便を確保し、深夜アブジャに到着。
4月30日(3日目)
午前中、ナイジェリアの首都アブジャに所在の在ナイジェリア日本大使館の鈴木秀雄大使を訪問し、自民党の小林鷹之政調会長をナイジェリアに迎える打ち合わせを行う。ナイジェリア政府の閣僚との面談日程が、政府の危機管理対応の臨時閣議開催で急遽中止になる中で、大いなる危機感を覚え、前閣僚であったマスターズエナジーのウチェ社長の人脈を活用し、その日の夕方に官房長官、石油大臣との面談が急遽実現。ウチェ社長を大使館、小林政調会長に紹介した私も薄氷の安堵。私も同席させて頂いた官房長官、石油大臣との会合では、小林政調会長からは日本の技術力が成長著しいナイジェリアの発展に貢献出来、日本も石油資源の調達先多角化を目指すことに繋がり、ウィンウィンの関係構築が必要であるとの認識が示され、先方からも、日本の高い技術力経済力への期待と相互協力の要請が行われる。非常に有意義な会談が実現できた。
5月1日(4日目)
早朝、アブジャのホテルで自民党小林政調会長に挨拶。それぞれの便でラゴスに向かう予定が、我々の便が2時間遅れ。予定されていたラゴスの日本企業との意見交換会は欠席することに。一昨日のフライとも同じ航空会社の便が大幅遅延。「予定は未定」が文字通りの国ナイジェリアの出張は、神経を強靭にする訓練に最適と自らを慰める。それでも、昼過ぎにはラゴス市内で、ナイジェリアの各分野の企業の幹部の皆様と日本ナイジェリア経済連携の可能性、期待について意見交換。自民党小林鷹之政調会長の訪問を受け、具体的経済連携の内容に関しても話が弾む。MOUも調印。この意見交換会を最後に、今回のナイジェリア訪問のミッションは終了。日本とナイジェリアの関係について次につなげる戦略の構築を検討しなくてはと覚悟。
5月2日(5日目)
帰国の日の朝、ラゴスのホテルで訪問団関係者が金融サービスを展開するナイジェリア人とビジネス談議。私はたまたま朝食の場で太陽光ソリューションをナイジェリアで展開している日本人ビジネスマンと邂逅し意気投合。この方、何と、私の東京の住所の近くの会社の方。帰国後に意見交換を約束。その日の昼過ぎにラゴスを発ち、アジスアベバを経由して、3日の夕方成田に到着する便に無事搭乗。
帰国後、今回のナイジェリア訪問を受け、日本の資源確保の多様化という日本側の戦略的観点を踏まえ、ナイジェリアにとってもメリットのある関係構築のための提案書を作成することとしました。
