理念・政策・メッセージ
2026.04.17
「先島諸島におけるシェルター整備の現状と課題を探る」
〜3年ぶりの先島諸島訪問〜
4月13日から15日にかけて、先島諸島で進むシェルター整備の現状と課題を把握するため、石垣島・宮古島・沖縄本島を訪問しました。石垣島では竹富町の前泊正人町長、石垣市の中山義隆市長、宮古島では嘉数登市長から、それぞれ現場の状況と課題を伺いました。
3年前には、自民党シェルター議員連盟の訪問団として与那国島・石垣島を訪れ、緊迫する国際情勢の中で、万が一の事態に備えた住民避難とシェルター整備の必要性について、与那国町・石垣市・竹富町の声を直接聴きました。その後、議員連盟として政府への提言を取りまとめ、首相官邸に提出したことが、政府のシェルター整備検討の一つの契機となりました。
議員連盟の動きを受け、政府は2年前に「基本的考え方」を取りまとめ、今年3月末には「緊急事態を想定した避難施設(シェルター)の確保に関する基本方針」を閣議決定しました。これにより、シェルター整備は国家的な取り組みとして新たな段階に入りましたが、実際にはまだ端緒についたばかりです。
私は、シェルター整備を本格化させるためには、議員連盟の累次の提言でも指摘しているように、シェルター整備に関する基本法を制定し、政府の目標、役割分担、技術基準、公的財政措置、国際協力などを明確化する必要があると考えています。日本核シェルター協会の勉強会でも、こうした制度設計の議論を深めて来ています。
一方、先島諸島ではモデル事業として地下シェルター整備が進みつつありますが、政府が技術基準を整理中であることもあり、現場では試行錯誤が続いています。また、建築基準法など平時の制度が厳格に適用されるため、非常時を想定した地下シェルター整備においても大きな制約が生じているとの声もあります。
こうした状況を踏まえ、今回3年ぶりに石垣島・宮古島を訪問し、事業の進展と新たに浮き彫りになった課題を確認しました。以下は伺った内容を箇条書きしました。
■ 竹富町・前泊町長の声
・シェルターの必要性について町民への説明を継続している
・一方で建設費・維持管理費への懸念が根強く、政府の明確な姿勢が求められている
・平時の利活用に関するノウハウも必要
■ 石垣市・中山市長の声
・新庁舎職員駐車場の地下にシェルター整備を予定
・建築基準法の制約が大きく、平時利用は地下駐車場に限定される現状に課題
・100億円規模の施設が平時において「職員駐車場」では市民に響かない懸念
・換気装置など維持管理コストへの不安
・国の法的・財政的支援が不可欠
■ 宮古島市・嘉数市長の声
・スポーツ施設地下へのシェルター設置を検討
・市民が親しめる仕様を追求した結果、建設費が80億円台から150億円規模へ
・しかし市民の利便性を考えると必要な投資と判断
・維持費負担への懸念があり、国の公的支援と法的位置づけを強く要望
・公民館など市内各所への地下シェルター整備も必要
今回の訪問には、日本核シェルター協会の会員企業の方にも同行いただき、全国の閉鎖空間活用の事例や今後の選択肢を紹介しました。現場にあっては、シェルターの維持管理についての知見も国内事例も乏しい中で、今後の取り組みに一抹の不安もあり、これから見込む実施計画の参考になるとの一定の評価を賜りました。政府方針でも、平時からの利活用や自然災害への対応を含む「デュアルユース」の重要性が強調されていますが、こうした民間の知見の蓄積は大いに共有されて然るべきだと認識しました。
シェルター先進国や国際基準と比べると、日本の整備は大きく遅れています。しかし、遅れた分だけ最先端の構想を取り入れ、実装に向けて動き出すことで大きな価値を生み出せると考えています。今後も引き続き、現場の声を踏まえながら取り組みを進めていきます。
