「世代交代による自民党再生のための方策」

〜ベテラン議員の重複立候補禁止〜

 今回の参議院選挙では多くの若い議員が誕生した。国政レベルで世代交代が着実に進んでいることは喜ばしいことだ。

 自民党の再生に向け政治の世代交代を更に加速するためには、それ相応の制度的対応が必要である。立候補に関する定年制ということは既に取り入れられている手法である。選挙区立候補者の公募という手法も若手の発掘には意義深い。

 これらに加えて、「閣僚・党三役経験者の衆院選での重複立候補禁止」という手法も世代交代を促す強力な手法になりうる。

 この手法は、実は、自民党神奈川県連が今回の参院選に向けたローカル・マニフェストの中で打ち出していた提言である。参議院選のローカル・マニフェストで衆議院選挙に関わる党改革の方策を打ち出すのもユニークであるが、自民党神奈川県連の党改革に向けた真摯な姿勢を感じる。

 自民党神奈川県連では、2009年の解散・総選挙直前に「首相退陣論の噴出や議員の世襲制限をめぐる迷走により党への逆風が一層強まった」とし、その「混迷を招いた言動の発信源は閣僚や幹事長を経験した党幹部であった」と認識する(神奈川新聞)。そして、「党の幹部や重鎮は後進を育てるべき立場にもある。重複立候補を進んで禁止し小選挙区のみの出馬とすれば、党運営に対する決意や責任が、より厳格に反映されるようになるのではないか」とも指摘する(神奈川新聞)。

 私は、このベテラン議員の重複立候補禁止は世代交代に大きな効果を持つと考える。新人候補は地盤も看板もカバンもない中で出馬するケースがほとんどである。良い戦いをしても、地盤・看板・カバンに恵まれたベテラン候補が新人候補を上回る惜敗率で比例復活していてはハンディキャップのある新人候補は救われない。惜敗率で救われるべきは新人候補ないしは当選回数の少ない候補であり、その仕組みこそが若手を政治の世界に誘う揺りかごとして機能しうると考える。

 世代交代による自民党の再生を加速するために、次期衆議院選に向けての自民党の小選挙区立候補者については、党本部においても「閣僚・党三役経験者等の衆院選での重複立候補禁止」を採用すべきである。


Copyright(C) Mutai Shunsuke All Rights Reserved.