「教育機関誘致を地域発展の起爆剤とした松本市の歴史」

 9月27日(日曜日)の昼前から午後にかけ、松本市で行われた市民活動フェスタ2009に参加した。あがたの森文化会館講堂で市内の市民活動の展示が行われていたが、この1年以上、政治活動や選挙活動に明け暮れ、ゆっくりと足元を見据える機会がなかったという反省もあり、「新まつもと物語」という団体の主催する「まつもと・城の町の案内人になろう」という講座に参加した。

 今年の5月9日に開催された「みんなに伝えたい松本」のワークショップの延長線の講座でもあった。

 これまで1年間以上に亘り松本市内を縦横に歩いたこともあり、松本市内の「見どころ」について随分と知識が増えたとの意識があったが、実際にその筋の専門家の話を聞くとまた別の視点が得られ期待通りの得難い機会となった。

 今回は松本市役所の方から、旧制松本高等学校の歴史を伺い、併せて旧制高校を誘致するために松本駅と旧制高校を結ぶ道路を新たに開設したこと、松本駅からまっすぐに道路を開設するために「県の宮」神社を遷座したこと、松本駅から旧制高校の近くを経由する路面電車を作ったことなども教えて頂いた。

 松本の近現代史の中で、旧制高等学校という教育機関の位置づけが極めて大きいものであったこと、教育機関の存在を地域発展の起爆剤と考えた先人の発想を再認識した。経済が低迷するこの地域の将来の発展の在り方を考える中で、この地域にとって「教育」というものの持つ独特の意味を改めて噛みしめた。

 この後、「戸田家廟所」、松本の湧水群などを拝見する機会を得たが、地方都市に埋もれている様々な歴史資源、自然資源をもう少し体系的に掘り起こす努力が必要だと思えてくる。

 英国においては、ブルー・プラーク(Blue Plaque)というシステムがある。歴史に残る功績のあった人物や出来事を縁のある地域や建物に結びつけ表示するシステムである。これにより英国の歴史を地域に住み人々が毎日の生活の中で認識していくことが可能になっている。このような仕組みを我が国にも導入するということも意義のあるものと思われる。

 ところで、今回の参加者の中に英国から帰国したばかりの若い女性がいた。新関さんというこの女性もこのシステムを御存じであった。我々で「松本日英協会でも作りましょうか」という会話も出て和気あいあいとした講座となった。


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