5月12日に発生した長野県中信地域の停電では、生坂村が脱炭素先行地域として進めてきたPPA方式の太陽光パネルと蓄電池の設置効果が大いに発揮されました。地域全体としては停電は数十分で復旧しましたが、状況によっては長時間化する恐れもありました。
生坂村の住民の一人は次のように語っていました。「18時25分頃に停電し、家中の電気が一度消えましたが、1秒後には蓄電池に自動切替され、照明もテレビもすぐ復旧しました。蓄電池残量は96%で、朝まで停電しても問題なかったと思います。10分ほどで送電は回復しました。この日は下生坂公民館でも会合があり、公民館も同様に太陽光と蓄電池で対応できたため、区長からPPA事業の利便性が紹介され、参加者にも理解が広がりました。」
こうした実践を踏まえ、私自身は環境副大臣の頃からの問題意識を継続し、遊休公共施設を活用した蓄電池設置を脱炭素支援の一環として自治体や政府機関に提案する取り組み支援を進めています。蓄電池は災害時のレジリエンス向上に加え、再エネ拡大を支える重要なツールとなるからです。
一方で、電気が安い時に充電し高い時に放電する蓄電池であっても、系統接続には依然として時間がかかるという課題があります。蓄電池は本来、需給調整や再エネ変動の吸収に寄与する「系統安定化資源」であるにもかかわらず、現行制度では発電所と同様に扱われ、最悪ケースを前提とした厳格な審査が求められるためなのです。この非合理は、蓄電池の柔軟性を制度が十分に評価できていないことに起因すると考えられます。
今後は、ノンファーム接続や充電時間帯制限など、蓄電池の特性を前提とした簡便な審査枠組みを整備し、迅速な接続を可能にすることが強く求められます。こうした課題を解決しつつ蓄電池導入を加速することが、全国展開の鍵となると考えています。停電時に効果を示した生坂村の具体的な取り組みは、その先見性を証明した重要な政策的意義を持つものと言えます。
これからも生坂村の脱炭素先行地域政策の支援役として得た気付きを発信してまいります。
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