「ガンディーの「日本人に贈る言葉」」

〜日本が古来受け継いできたものに忠実でありなさい〜

 浅井幹雄というインドで出家した方がまとめた「ガンディー 魂の言葉」(太田出版2011年9月)という本に接した。東日本大震災の惨禍を経て、そしてTPP議論に臨み、今更ながら数十年前のガンディーの珠玉の言葉が今にも通じる普遍性を持つことに新鮮な感覚を持った。今現在ガンディーが生存していたとしても同じ言葉を発するに違いないと思えてしかたがない。

 その本の中に掲載されている、特にTPP議論との関連で読者の皆様に紹介したいガンディーの言葉を以下に記す。

 「私たちが現在陥っている最大の問題は、私たち自身が世界の様々な領域を支配する欧米の作った国際ルールを唯一のルールだと信じていることである。このルールに従うことが私たち自身の進歩・発展だと思わされている。しかしこれは真っ赤な嘘である。欧米流グローバルルールとは欧米諸国が自分たちの利益のために都合よく勝手に作った競争のルールである。最初から圧倒的に不利なルールで展開されているレースに参加することは自ら進んで死に向かうようなものだ。私たちは世界の潮流を変え、想像力を豊かに働かせて、この暴力的なグローバルスタンダードから離脱する必要がある。」(「ヤング・インディア」 1929年)

 「村の暮らしの中で使うなら、縁もゆかりもない遠い土地でつくられたものより郷土の品を使いたい。そう思うのは純粋な感情でもあり、一つの誇り高い精神の表れでもある。しかしこの「地産地消」を実行に移すには大きな努力が必要である。もし郷土品に欠点があればそれを改良してあらゆる点で完璧な品質に近づけていこう。このような仕事に私は関わっていきたい。」(「バープー物語」)

 「よきことはカタツムリのようにゆっくりと進む。だから自分のためではなく人々の為に働く人はいたずらに急がない。なぜなら、人々が良きことを受け入れるには多くの時間が必要なことを知っているから。」(「ヒンドスワラージ」)

 「日本人に贈る言葉 あなたに差し上げるメッセージは次のことにつきる。『日本が古来受け継いできたものに忠実でありなさい。』」(「ハリジャン」 1938年)

 「まだ知らない人がいたら知っておいてほしいことがある。現代社会に巣食う七つの大罪とは・・・。理念なき政治 労働なき富 良識なき快楽 貢献なき知識 道徳なき商業 人間性なき科学 貢献なき信仰 読者はこれを頭ではなく、心に刻み込んでほしい。こうした罪を決して犯さないために。」(「ヤング・インディア」1929年)


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