むたい俊介
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長野2区 自民党

【メッセージ】
「松本空港の存続問題を考える」
〜全国の地方空港をネットワークする新会社を設立〜

 10月17日の信濃毎日新聞の報道で、奥志賀、北志賀のリゾート会社から投資会社が撤退するという記事に接した。投資ファンドは「逃げ足が速い」と言われているが、リゾート運営から僅か4年間での全面撤退がそのことを物語っている。短期的に資金回収を目指す投資会社特有の性質が如実に表れたと言いうるのかもしれない。

 私はふと、同様のことが日本航空の地方航空路線維持に対する姿勢にも表れているように思われた。日本航空は、10月14日、長野県に対して比較的利用率の高い札幌線を含め、大阪便、福岡便の3路線を全て廃止したいと伝えたと報道されている。

 日本航空は国際線をベースに発展してきた航空会社だ。それがJASとの統合により地方便も運営することになった。経営が順調な時ならばともかく、全体の収益に問題が生じるようになると、不採算の地方路線を切り捨てにかかる。日本航空は、経営という観点からはやむを得ない選択だとして撤退方針を示したのであろうが、松本空港を利用する企業や観光業界からは悲鳴に似た声があがる。特に地元経済界からの声は深刻である。これまで松本空港整備に膨大な投資を行ってきた行政当局も真っ青である。

 現在も高速鉄道網から隔絶された松本地域が、空路からも断絶されることになると、今後の企業立地、研究機関誘致、人材誘致、国際観光地域としての今後の発展にも大きな阻害要因となることは必定である。

 一方で、松本空港は地理的、運用上のハンディキャップがあると言われている。空港周辺が山に囲まれているため計器着陸装置が十分に機能を発揮できないため松本には設置されておらず、視界が悪い場合の欠航率が高くなっている(07年度の就航率95.5%は定期便就航87空港中65位)。日本で一番標高が高い場所に所在するため空気が薄く、2,000メートル滑走路があっても大型機の離陸ができないハンディがある。航空機の騒音レベルに関し地元との協定が存在し、ジェット機材の就航に大きな制約があり、現在はプロペラ機の就航になっている。空港の運用時間が一日8時間というのも大きな制約となっている。松本空港の機能を最大限発揮させるべき地元の姿勢にも問題があるようである。

 さて、松本空港をはじめとし、地方空港のあり方を考えていく大きな方向性を議論していなくてはならない。これからの地域振興は定住人口が減少する中で交流人口を確保していくことが必要となる。交流人口確保の基盤は交通インフラの充実である。空路による地域間交流が地域振興にとって重要な要素になりうる。実例もある。平成19年、それまで1日2往復だった新潟─福岡路線廃止の意向をANAから受けた新潟・福岡の両県は、「新潟・福岡交流促進協議会」を設立し、福岡県では新潟県の「下駄総踊り」や「古町芸妓」を宣伝する一方、新潟県では福岡県の「博多どんたく」や「祇園山笠」をPR。この地道な活動が功を奏し路線廃止を切り抜けた経緯がある。

 2010年に完成する羽田空港新滑走路の存在も大きい。滑走路が完成すれば国内線の発着枠も増える。この増便は地方空港には大きなチャンスとなりうる。

 ところで、私には航空会社そもそもについてのアイデアがある。全国の地方空港を結ぶ路線を運営する航空会社を地元利益を重視するマインドのある運営主体により運用すべきではないか、ということである。国際競争の中で生き抜く会社と地域経済を重視する会社とは生き方が異なるはずである。ちょうど、国際業務を行う金融機関と国内業務のみを行う金融機関の自己資本比率に差があるように、航空路線の性格毎にそれを維持する航空会社の有り様に差があってもよいのではないか。

 全国の地方空港を全国的視野に基づきネットワークで結ぶ発想で、例えば全国の地方自治体などが出資し、「全国地域間航空会社」とでも呼ぶ航空会社を設立し、全国の地方空港、更には隣国を結ぶ路線を設定していくことが考えられる。ちょうど静岡空港開港に合わせ、フジドリームエアーラインという会社ができているが、地域振興を前面に出した地方空路ネットワーク確保を目的とした仕組みを作っていくことで、国際経済の大波にも耐えられる元気のある地方空港の在り方を考えていくべき時期ではないか。国はそのための資金を確保すべきであるし、地域の住民自らが地域を元気にする観点から出資してもよい。自らの航空会社として住民が親しむことで利活用も活発となりうる。

 既に出来上がっている地方空港のストックを無駄にせず、内需拡大の起爆剤とし、地域を元気にしていくための前向き思考が求められている。

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