むたい俊介
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長野2区 自民党

【メッセージ】
「医療現場との情報共有を重視する創薬会社の実践に学ぶ」
〜「MR」という現代の「幌衆」を駆使するキッセイ薬品〜

 松本に本社を持つ創薬研究開発型企業として独自の存在感のあるキッセイ薬品工業株式会社の味澤幸義副社長から製薬業界の抱える課題についてお話を伺った。

 新薬開発により常に新しい医薬品を生み出していかなければならない常在戦場の環境に置かれた創薬業界の生き残り戦略の話は刺激的であった。

 新薬の開発期間は10年から15年以上の長きに亘り、多額の研究開発投資を必要とするだけではなく、薬の候補として研究を始めた化合物が新薬として世に出る確率は、現在では3万分の1と僅かの確率なのだそうだ。その上に、各国とも医療費抑制の観点から、新薬メーカーが開発した新薬特許が切れた後は、いわゆるジェネリック医薬品という後発医薬品の使用を促している。難易度の増す新薬の開発とジェネリック医薬品との競争の狭間で、新薬メーカーは継続して新薬を発売できなければ生き残りは難しい現状にある、との話であった。

 これに対する現在の薬事行政には様々な問題があり、特許存続期間中の薬価の原則2年ごとの引き下げが行われている我が国の薬事行政の仕組みは新薬の研究・開発の費用造成に大きなマイナス要因であること、新薬発売に向けた臨床試験実施の環境が日本では十分に整っていないこと、国の新薬承認審査体制が充実していないために貴重な時間が浪費されていること、などを伺った。

 日本の医薬関連産業が日本の成長牽引産業であることを考えれば、その成長を阻害する制度的ネックはできるだけ解消することが必要であるように思う。医療費削減の要請もこれあり、対応には難しい局面もあるが、国際競争力重視の視点は踏まえなければならない。

 ところで、味澤副社長の話を伺う中で、キッセイ薬品には製薬業界と医療現場をつなぐきめ細かな2つの仕組みが存在していることに興味をそそられた。

 1つは、MR(Medical Representatives:医療情報担当者)という仕組みであり、医薬品の医療現場での使われ方、発生した副作用などについての情報をMRと呼ばれる担当者が医師や薬剤師と製薬メーカーの間に立って、情報の共有、同期を取る機動的な仕組みである。

 医師の処方により処方される医療用医薬品は正確な情報の下で適切に使用されてこと真価を発揮するものであることは言うまでもないが、MRが携行している端末からは訪問先が必要とする「安全性情報提供システム」へのアクセスも容易に行われるとのことである。戦国時代の「幌衆(ほろしゅう)」と呼ばれた情報集団の存在が有名であるが、さしずめMRとは現代の幌衆の様な存在なのだろうなと、ふと連想した。

 2つ目は、医師や薬剤師が自ら有用な学会や講演会に移動せずに参加することを可能とする遠隔地講演会システム「K-ネットカンファレンス」の提供も、多忙な利用者にとっては最新の情報に容易に接する嬉しいシステムのように思えた。

 製薬業界の商品である医薬品は、薬剤エイズやサリドマイド事件のように、その副作用が人の命にかかわり取り返しのつかない事故に直結する。その意味では、MRのような仕組みは必要に迫られた上での仕組みなのだろう。1600名のキッセイ薬品のうち何と600名がMRであるとの味澤副社長の話から、同社が如何に医療現場との情報共有を重視しているのかを思い知った。そして、これは一種の危機管理なのだろうと強く認識した。

 そして、おそらくこうした仕組みは、防災、社会福祉などの他の分野での応用も十分に可能だと思う。現在、個人情報保護法の拡大解釈で弱い立場の情報共有が公的機関の中においてすら共有されず、過日も、生活保護を得られずに姉妹が餓死するといった悲惨な現状が報道されている。命に直結する分野を担当している製薬業界の情報共有、同期のシステムの進化を、他の分野においても真摯に学ばなければならないと感じた次第である。

<参考>
キッセイ薬品工業 味澤副社長とのUSTREAM対談の模様

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