むたい俊介
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長野2区 自民党

【メッセージ】
「21世紀の都市デザインのコンセプト」
〜人間のつながりを重視した「円楼」に学ぶ〜

 以前、環境システム研究所の原田鎮郎代表と偶然お会いする機会があり、当時私が勉強していたコミュニティ談議になり、原田さんが以前訪問した中国の福建省の「円楼」という建築物が有するコミュニティ機能がとても高いという話を伺った。

 この円楼には、「客家」と呼ばれる人たちが居住しているのだが、「客家」と呼ばれる人々は中国本土だけではなく、華僑としても海外に多く居住し、その強いネットワークを通じて、各国の政治や経済に強い影響力を誇っている。

 福建省の山中に巨大な円形の建物が点在し、「円楼」と呼ばれるこの建物が客家の人々が生活する集合住宅なのだ。

 このような巨大な住宅を建てた理由は、客家の由来と深い関係があり、もともとは中国北方の黄河流域に住んでいたが、度重なる戦乱や異民族の襲来から逃れ南方へ移住した人々の末嬰で、よそ者として山奥に住みついた客家は、外敵から身を守るため、この要塞のような円楼を建てたのだそうだ。

 原田さんは、承啓楼という円楼を訪問したのだそうだが、その時の原田さんの観察は次のようなものだったそうだ。

・円の持つ求心性が強い一体感を生み出している。
・中央の広場には、先祖を祭る廟がある。
・4層程度の円楼が多く、1階は厨房、食堂、2階は穀物庫、3,4階が寝室という構成が多い。
・一家族が4階建ての住宅を持つことになるが、階段は共有で全体で数箇所しかないので、自分の家の上階に行くにはまず公共の階段まで行って、そこで目的階まで上って、そこから廊下を通って自分の家まで来るという動線になる。
・構成の円楼の中には単元式といって自分の家の中に専用階段を持っているタイプもできたようだが、これは血縁関係の無いものが一緒に住むという現代の集合住宅に近い性格だったようである。

 一般に建築家はコミュニティを大事にする建物の設計に気を使うが、原田さんは殊のほかその傾向が強いようだ。愛知万博のプロデューサーも務め、環境に優しいデザインに造詣が深い。

 21世紀の都市居住のデザインのコンセプトとして、原田さんは、コンパクトな都市づくりを主唱しておられる。欧米型の近代建築が機能に対応して空間を分けることを目指してきたが、日本を始めとしたアジアの国々においては、都市や建築の時間・空間を非常にフレキシブルに使いこなしてきており、このような知恵がコンパクトな都市づくりに多くの示唆を含んでいると指摘している。

 車でなければ移動できないスプロール都市よりも、コンパクトにある程度高密度に都市の機能が構成され、周りに自然が共存している都市を目指すべきとの考え方だ。

 その観点からは、円楼は、ユニークな中国人のオリジナリティーとして21世紀に通じるコンセプトを持つ建築物ということになる。

 コンパクトリビングやコレクティブハウスという言葉が最近では頻繁に人々の口に上るようになってきているが、思わぬところで、歴史の重みを伝えるコミュニティハウスの実例を垣間見ることができた。少子高齢化の中での都市づくり、農村集落の再編にも、少なからぬインパクトのある建築思想である。
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